cannibaljapan2014.12.24

ライフセービング競技日本代表、西山俊選手 から ニュートリグレンアイアンマンシリーズラウンド3.4 の様子をレポート届きました!

Cannibal Japan facebookでご紹介させて頂いた、ニュートリグレンアイアンマンシリーズ
実際に現地でトレーニングそして選手としても活躍してらっしゃる
ライフセービング競技日本代表 西山俊 選手から
ニュートリグレンアイアンマンの様子をレポートしていただきました!
オーストラリア、ゴールドコーストから臨場感あふれるレポートお楽しみください!




■プロフィール
名前:西山俊(ニシヤマシュン)
年齢:26歳
出身地:神奈川県
経歴:幼少期から水泳を始め、大学入学と同時にライフセービング活動を始める。
大学3年時(21歳)の時に初めて日本代表に選出され、現在も日本国内・外でトレーニングを行い、
大会に出場しながら日本でのライフセービングの普及に努める。
全日本選手権でアイアンマン優勝、プール競技では4種目の日本記録保持などの経歴を持ち、
数あるライフセービング種目をオールマイティにこなす選手。
現在は、2016年に行われる世界選手権・2017年に行われるワールドゲームズ等の出場に向けて
オーストラリアでトレーニング中。

<写真左>西山選手ご本人 <写真右>4戦目の優勝者シャノン・エクスティーン選手
国際大会で何度も顔を合わせたり、彼と同じクラブでトレーニングしていた事も過去にあるので、
仲良くさせてもらっています。




こんにちは!
日本ではまだあまり馴染みが無いですが、ライフセービングという競技の日本代表を務めています、
西山俊(にしやま しゅん)です!
ライフセービングとは、
水辺等の事故を未然に防ぐ事を目的とした活動で、海やプールでの監視、
地域への教育や講習、新しいライフセーバーの育成など多岐に渡りますが、
その中でも私は「ライフセービング競技」といった分野からライフセービングを
もっと盛り上げようと頑張っていて、2009年から現在まで日本代表として様々な国際大会等に出場しています。
現在は、100年以上の歴史を持つ世界で最もライフセービングが盛んな国、
ここオーストラリアに滞在してトレーニングしています。
オーストラリアでは、ライフセービング競技がオリンピック競技と同等に評価されており、
競泳、トライアスロン、OWS(注1、カヌーや陸上競技のオリンピック(候補)選手も
平行してライフセービング競技に励んでいるんです。

さて、ここオーストラリア・ゴールドコーストでは先週末の12月20日(土)・21日(日)に、
「Nutrigrain-Ironman-Series」(注2という、ライフセービングの「アイアンマン」という
花形種目のみを行うシリーズ戦の第3・4戦目が行われていました。






トライアスロンのアイアンマン(注3、とは種目も距離も違い、
ライフセービング競技における「アイアンマン」は、
「サーフスキー(カヤック)」「パドルボード」「スイム」「ラン(前種目の間を繋ぐのみ)」
の4種目を一人で行う競技です。トータル2kmほど、10~15分で終わる競技です。



「サーフスキー(カヤック)」



「パドルボード」

「サーフスキー(カヤック)」「パドルボード」「スイム」の順番は大会ごとにくじ引きで決めるため、
レース展開が毎回違い、アイアンマンはとても白熱する種目となっています。
尚このニュートリグレンのシリーズ戦では特別ルールが適用されており、
レースごとにルールが多少異なっていて、よりエンターテイメント性が強い大会となっています。





まずは20日の土曜日、シリーズ3戦目が行われました。
→→種目順は、「サーフスキー(カヤック)」 「パドルボード」 「スイム」。
「サーフスキー(カヤック)」 「パドルボード」 「スイム」の順に行い、
これを3回連続で繰り返すロングレースという特別ルール。

波は腰~腹サイズ(注4 とあまり無いものの、オンショアの(海から陸へ吹く)風が非常に強く、
とても荒れているチョッピー(注5 なコンディション(注6
波に当たってスピードを落としたり、風や波をうまく掴んで前に出る選手がいるなど、
各種目ごとに順位が大きく入れ替わるレースとなりました。

前年度の王者シャノン・エクスティーン選手が終始レースを牽引していたものの、
最後のスイムでうまく波を掴んだ若手のホープ、ケンドリック・ルイス選手が
逆転しシリーズ3戦目の優勝を飾りました。
海のコンディションに順位が大きく左右されるのがライフセービングの特徴であり、
最大の魅力です。競泳のオリンピック選手でさえ、海で泳げばライフセーバーには勝てないんです。
これってすごい事です!



次に21日の日曜日に行われたのがシリーズ4戦目。
→→種目順は「パドルボード」 「スイム」 「サーフスキー(カヤック)」。

「Eliminater」(注7というルールが適用され、
「パドルボード」 「スイム」 「サーフスキー(カヤック)」の順に1回ずつを1レースとして区切ります
それを3レース行います。1レースごとに全15人の選手のうち下位5人が脱落していく、
1レースずつ全力で行わざるをえないスプリントレースです。

レースの間隔は最下位の選手がゴールしてから10分ほどと、非常に過酷なレースとなっています。
波が前日より1サイズ上がり、他のコンディションは変わらなかったものの、ルールの違いからか、
脱落しないために全力で競るシーンや、選手同士が接触したり、レース後に倒れこむ選手などが多く、
選手の必死さが伝わるレースとなりました。




4戦目の優勝を飾ったのが、昨日レースを引っ張ていたシャノン・エクスティーン選手。
他の選手を圧倒する余裕のゴールでした。風や波をうまく利用するスキルが他の選手と圧倒的に違いました。
出場選手の中でも年齢はかなり上のほうですが、経験や環境への対応力の差が結果に出たレースだったと言えます。






大会会場は、スポンサーのバナーが入った大きなテントやブースが特設され、
派手な音楽が流れ、スポーツDJによる実況や場選手のサイン会、
キッズ向けのイベントなどが行われていて、観戦に来た人達を飽きさせないような作りになっており、

ライフセービングがひとつのサーフスポーツとして確立されている印象を受けました。
海に囲まれた日本でも、ライフセービングがここまで発展する可能性は大いにあると自分は感じます!

残りのシリーズ5・6戦目は、1月にニューキャッスルという場所で行われます。
全6戦のポイントで総合優勝を決め、優勝者はキング(クイーン)として称えられ、
オーストアリアのライフセービングの歴史に刻まれます!


OWS(注1
OWS(オープンウォータースイミング)とは、海や川・湖といった自然の水の中で行われる
長距離水泳競技です。水質、天候、潮汐等、自然条件の影響を受けることから、
競泳とは異なる技術や知識が必要とされます。

「Nutrigrain-Ironman-Series」(注2

◆今回は、第3戦・第4戦のご紹介でしたが、第1・2戦、第5・6戦について

1戦目:アイアンマンを3回連続(女子は2回連続)で、M字コースで行いました。
場所は、WA州(ウェスタンオーストラリア州)のスミスビーチという会場です。

2戦目:4戦目と同じくElimination(下位数名が脱落していくルール)でアイアンマンを3回のルールでした。
場所は1戦目と同じくスミスビーチです。

5・6戦目は、NSW州のニューキャッスルというビーチで行われます。
5戦目は1戦目と同じルール。6戦目は2戦目と同じルールとなっています。

http://www.nutrigrainironman.com.au/en_AU/home.html
第1戦 http://www.nutrigrainironman.com.au/en_AU/schedule/SmithsBeachRound1.html
第2戦 http://www.nutrigrainironman.com.au/en_AU/schedule/SmithsBeachRound2.html

◆誰でも出場できるのでしょうか。

出場者はあらかじめ決まっています。上限はその年度によって異なるのですが、
昨シーズンのトータルポイントが上位およそ半分の選手は自動的に次年度の出場権を得られ、
あとの半分は毎年9か10月に行われるトライアルレースによって決まります。
たまに、ワイルドカード枠といって、大会主催側が招待する選手もいます。

◆「Nutrigrain-Ironman-Series」がすごい大会なことはわかりましたが、オーストラリア内では
どういった大会なのでしょうか。

オーストラリアにはライフセービングの3大大会(トリプルクラウン)と呼ばれる大会があります。
5~6戦をトータルポイントで争うシリーズ戦の「Nutrigrain-Ironman-Series」。
サーファーズパラダイス~クーランガッタゴールドを各種目で往復するロングレース「coolangatta gold」。
シーズンの最後に行われるもっとも敷居のある大会「Aussies(全豪選手権)」となります。

◆ライフセービングの勝敗のポイントは。

トライアスロンやOWSと違い、波が崩れるビーチでレースを行います。
波に当たれば速度を失うし、波をうまく掴めば何も力を使わずに前に進めます。
沖に行く時は波が崩れない所を選んで向かい、逆に浜に帰るときは波が崩れる所を選んで帰ります。

映像ですが、2'10秒くらいのところを観てみてください。
ボードを漕いでいるシーンですが、左側の選手のみうまく波が崩れるところを選んで
パドルしていたためうまく波を掴む事ができ、他の選手よりもずっと前に出ることができました。



トップの選手はこういった波を予測する技術やそれに対応する技術がすごいのです。

トライアスロンのアイアンマン(注3
トライアスロンにおけるアイアンマンは、スイム3.8㎞、バイク180㎞、ラン42.195㎞を行います。

波は腰~腹サイズ(注4
波の大きさの表現です。今回の場合、岸側から見て、波に乗っているサーファーが波の一番下まで降りたときに、
波の一番高い部分がそのサーファーの腰からお腹あたりの高さまであるという事になります。

チョッピー(注5
「チョッピー」とは英語でchoppyで、風波が立つ、三角波が立つ。といった、
風が強くて海面がバシャバシャしたコンディションの事を言います。

コンディション(注6
海の状態のことを表します。コンディションの違いが大きく左右します。



本当に極端な例を出せば、こんな小さな波の日に行う事もあれば、





低気圧が接近していてこんなに大きな波の日でもレースを行います。

「Eliminater」(注7
「Eliminator」は、英語でeliminate=除く、除去するといった意味で、
下位選手がどんどん除かれていくレース、といった事ですね。


おまけ:
オーストラリアはライフセービング発祥の地で、世界で最も発展している国とも言えます。
その中でも突出しているのがQLD州とNSW州です。
ライフセービングに関連する大会やイベント等のもこの2つの州が一番多くなっております。
地方でも大きな大会を開催する事によって、国内でのライフセービングの更なる普及や
発展につなげているのではないでしょうか。
2年前までは、6戦をそれぞれ別の6会場で行っていたのですが、昨年からは2戦ずつ、
同じ会場で行うようになりました。出場選手がオーストラリア全土を転戦しすぎていたので、
その疲労削減と大会開催にかかる経費をコンパクトに抑えているのではないかと思います。




西山 俊 選手 フェイスブック アスリートページ
「SHUN Nishiyama - ironman」
https://www.facebook.com/shunnishiyama0933?fref=photo

■プロフィール
名前:西山俊(ニシヤマシュン)
年齢:26歳
出身地:神奈川県
経歴:幼少期から水泳を始め、大学入学と同時にライフセービング活動を始める。
大学3年時(21歳)の時に初めて日本代表に選出され、現在も日本国内・外でトレーニングを行い、
大会に出場しながら日本でのライフセービングの普及に努める。
全日本選手権でアイアンマン優勝、プール競技では4種目の日本記録保持などの経歴を持ち、
数あるライフセービング種目をオールマイティにこなす選手。
現在は、2016年に行われる世界選手権・2017年に行われるワールドゲームズ等の出場に向けて
オーストラリアでトレーニング中。


西山俊 選手、素敵なレポートありがとうございました。